#hayanoquiz ベスト解答一覧(採点コメント付き)

#hayanoquizのベスト解答一覧を発表いたします(21日正午ごろ投票締め切り)。

・なお、投票システムは引き続き稼働しています。ご自由に投票ください。

・採点補助者
東京工業大学 理工学研究科 久世正弘【K】
東大病院 診療放射線管理室 芳賀昭弘【H】

 

問題1

【理系学生必修】今,半減期8日のI-131原子核が10000個あったとします.8日後に何個残っているか答えなさい.最初の数が2個の場合はどうでしょう?最初の数が1個だったらどう?

(53/184票)

「・I-131が10000個あった場合 およそ5000個残っている。正確に言えば、5000±50(68% C.L.) ・最初の数が2個の場合 2個残っている確率が25% 1個残っている確率が50% 1個も残っていない確率が25% ・最初の数が1個の場合 1個残っている確率が50% 1個も残っていない確率が50%」

これ正解かな?5000個の1標準偏差はルート(5000)~70だと思うけど50で合っています(3/22 6:51訂正)。【K】

問題2

【物理学生必修】ヨウ素(I-131)が検出されたと報じられています.I-131であることを確認する原理を,100字以内で述べよ.

(51/91票)

「核分裂の結果生じるI-131は不安定な原子核であり、ガンマ線を放出しながら安定な状態に戻ろうとする。放出されるガンマ線の主なエネルギーは364KeV、637KeV、284KeVである。Ge半導体などエネルギー分解能の高い(数eV)検出器で、これらのピークを同定することでI-131の存在を判定できる。」

問題ないような。【K】

 

問題3

【物理大学院生必修】I-131を検出するのに必要な測定器と,その測定原理について述べよ

(26/66票)

「ガンマ線のエネルギーを高分解能で測定できるGe半導体検出器を用いる。ガンマ線が半導体中の欠乏層を通るときに生成される電子・正孔のペアを、逆バイアス電圧によって加速し電極で収集する。得られた電荷の量が、ガンマ線のエネルギーにおよそ比例する。Ge検出器のバンドギャップが小さいため(数eV程度)、高分解能でガンマ線のエネルギーを決定できる。」

まあいいような。光電ピークに関してはこれで正しい。コンプトン反応を起こしたりするとガンマ線のエネルギーの一部しか測定されない。高分解能は電子の統計(個数)が大きいことから、とあるとベター。【K】

 

問題4

【物理大学院生選択問題】I-131が出す放射線の種類をすべて述べよ.I-131であることが確認できる放射線の種類とそのエネルギーを述べよ.

(35/67票)

「・ガンマ線(主なもの) エネルギー 80.185KeV 2.62% 284.305KeV 6.14% 364.489KeV 81.7% 636.989KeV 7.17% 722.911KeV 1.773% ・ベータ線(主なもの) エネルギーの上限値 247.89KeV 2.10% 333.81KeV 7.27% 606.31KeV 89.9% ガンマ線のエネルギーは上記の値で決まっているため、I-131の存在の証拠として用いることができる。 ベータ線のエネルギーは、上記の値を上限とする広い分布をとるため、I-131の存在の証拠として用いることができない。」

いいのではないかな。【K】

 

問題5

【医療従事者必修】I-131の体内被曝が懸念されています.平常時,日本人の体の中に,放射性物質がどのくらいあり,それによる体内被曝量はどのくらいか,即答してください.

(37/66票)

「日本人の体を構成する物質で放射線を持つ主なものはK-40。成人で約200gのカリウムが体内に存在し、うち放射性のものは0.012%。他にC-14、U系列、Th系列の同位体等が体内に存在し、年間の体内被曝量は0.8mSv/年程度。」

200gはちょっと多すぎるかな。授業で計算した時体重60kgで3600Bqだった(Bq値も答えて欲しかった)ので120g。【K】
「日本人には」ちょっと多い数字ではあるかもしれませんね。でもその範囲でOKだと思います。私たちも約200gとして計算していますので。また、確かにKに関してはBq値も答えて欲しかったですね。200g -> 約6kBq。【H】

 

問題6

【医療従事者必修】報じられている「1キログラム当たり1万5020ベクレル」とは,何をあらわす単位か,即答してください. http://s.nikkei.com/hWw1fk

(20/73票)

「まず1ベクレルとは対象の物体内部で、1秒に1個原子核崩壊が起きていることです。 従って「1キログラム当たり1万5020ベクレル」1万5020Bq/Kgとは原子核の種類と総数と放射エネルギーを問わず、対象の物体内部で1Kg当たり毎秒1万5020個の原子核崩壊が起きている事です。つまり1万5020個物体内にα線またはβ線またはγ線が発生していることになります。現実には無視できる事象だと思いますがγ崩壊も含むか思案しました。核種の変化により線量に興味があると見て「含む」と解答いたします。」

ほぼ完答だと思います。1個の親核が崩壊して変化するのが1Bqなので、1Bqにつき複数の放射線が出ることもあります(むしろそのほうが普通)。【K】
正答かと思います。γ線も含むかどうか思案した、というときのコメントも秀逸。熟考していると思いました。 誤字(Kg=>kg)。【H】

 

問題7

【医学部学生選択問題】「放射性ヨウ素が1キログラム当たり1万5020ベクレル」と「放射性セシウムも524ベクレル」という報道があります.ヨウ素とセシウムの違いにも触れ,健康への影響の有無を適確に説明しなさい http://s.nikkei.com/hWw1fk

(16/53票)

「ヨウ素は人間の体に取り込まれると甲状腺に蓄積しやすいため、大量に取り込まれた際の内部被爆の問題がある。  セシウムの方が半減期が長い(30年)ため、長期にわたり放射線を出し続けることによる環境や人体への影響が大きいといえる。」

これも素晴らしいと思います。 I-131を大量に取り込むことによって、甲状腺がんを発症する可能性があるが、観測されている現時点での放射能濃度だけでは、健康には全く影響がないレベルであると言える。セシウムによる土壌汚染から外部被ばく、取り込むことによって内部被ばくが生じる。内部被ばくでは、セシウムはカリウムと置き換わることで全身に広がるため、これを大量に取り込むと、特に白血病などを誘発する可能性があると考えられる。しかしながら、こちらも現時点での放射能濃度だけでは、健康には全く影響がないレベルであると言える。被爆=>被ばくor被曝。【H】

 

問題8

【地球物理学生必修】天然放射線による被曝量が,その人が住んでいる地域によって異なる理由を,簡潔に答えなさい.

(30/72票)

「1)宇宙線の量は、緯度が高くなるほど多くなる。 2)また(宇宙線の量は)、標高が高くなるほど多くなる。 3)放射性物質を多く含む場所、例えば花崗岩地帯等に居住している場合、および断層など地質境界の近くに居住している場合、地質中の放射性物質や、断層等から発せられる放射線によって自然被爆量は多くなる 。 以上より、居住する「緯度、標高、地質」等によって、自然被爆量が変化するので、地域差が生じる。」

1)は地磁気の効果でしたっけ?正解のように思います。【K】

 

問題9

【理系学学部生必修】半減期Tの放射性物質の個数Nの時間変化N(t)をあらわす微分方程式を即答せよ.

(8/38票)

「dN(t)/dt = -λN(t) 半減期T = ln2/λ (蛇足) 上の微分方程式を解くと、放射性物質の個数と時間は、初期個数N(0)のとき N(t) = N(0) * e^(-λt) 半減期の時点(t=T)の放射性物質個数が1/2*N(0)なので、すぐ上の式に代入して整理すると、 1/2 * N(0) = N(0)* e^(-λT) → T = ln2/λ となる。」

正解。ln2=log_e(2)=0.693.【K】

 

問題10

【医療従事者選択】体内被曝が疑われる方があったとします.体内被曝の有無と,その程度を判定するにはどうすればよいでしょう.

(22/50票)

「原発で問題とされている核種は崩壊の過程でガンマ崩壊を経るものばかりなので、実質的には体外からシンチレーションカウンターを用いたSPECT像を取れば、体内への分布か体表の汚染かは区別できる。除染作業を行っておけばより正確。 もしベータ線、アルファ線しか出さない核種の場合には、血液などのサンプルが必要。」

すばらしい回答です。完璧です。また、排泄物や嘔吐物の測定もおこないます。【H】

問題11

【理系院生選択】放射性物質の崩壊とPoisson分布の関係について簡潔に述べよ.

(13/47票)

「放射性物質の崩壊については「ある原子核が一定時間当たりに崩壊する確率」を考えることが根本にある。すなわち、確率の世界あると同時に離散の世界である。また、一個の原子核について考えるのではなく、多数の原子核の集合を考える必要がある。これはすなわちポアソン過程なので、うまいことパラメータをつければポアソン分布に近似できる。」

うーん、ちょっと観念的かな。2番人気の「崩壊する確率pが小さく,放射性物質の数nは大きいので,ある時刻の放射性物質の数の確率分布は2項分布ではなくPoisson分布で近似できる」が良い回答。平均μが大きく(10以上)だとほぼガウス分布(平均μ、標準偏差ルートμ)と同じになる。【K】

 

問題12

【理系学生選択】測定値15020 Bq/kg などと報じられていますが,同じサンプルを,その直後にもう一度測定するとどうなると考えられるか,簡潔に記しなさい http://bit.ly/eAWzLW

(15/52票)

「I-131の半減期は、測定間の時間よりもかなり長いので、I-131の量は変化が無いと言っていい。ただし、測定自体に統計誤差があるので、最初の測定と同じ値が出るとは限らず、最初の測定値と統計誤差から、分布が予測される。」

正解。誤差はルート15020ではないですよ。測定時間内に計測数がNカウントだった場合ルートNです。【K】

問題13

【理系学生必修】報道やWebで使われている単位, Sv, Sv/h, Gy, Gy/h, Bq, Bq/kgについて,簡潔に説明してください

(10/39票)

「ベクレル(Bq)は「1秒間に崩壊する原子核の個数」 Bq/kgは「試料1キログラム内で1秒間に崩壊する原子核の個数」 グレイ(Gy)は「1キログラムに照射された放射線のエネルギー量(ジュール単位)」 Gy/hは「1時間当たりに観測された試料1キログラムに照射された放射線のエネルギー量(ジュール単位)」 シーベルト(Sv)は「放射線を生物が吸収した量」であり「Sv=放射線荷重係数*Gy」となる。係数は放射線の種類により異なる。ガンマ線なら1。 Sv/hは「1時間当たりに放射線を生物が吸収した量」であり「Sv=放射線荷重係数*Gy」となる。係数は放射線の種類により異なる。ガンマ線なら1。」

正解。最後の係数の話は「Sv/h=放射線荷重係数*Gy/h」と言いたかったと推測。【K】

問題14

【医療関係者必修】I-131,なぜ牛乳なのか.牛肉はどうか.即答してください.

(35/75票)

「I-131は水溶性のため、まず血中に分布し甲状腺に集積、あるいは尿、汗、唾液、乳汁等に分泌される。この家庭で生物学的濃縮が起こるため、 ウシの飼料と比較してキログラム当たりの放射能は増加していると考えられる。 筋肉には分布している血液量に応じてI-131が分布すると思われるが上記と比較してわずかであるため問題にならない。 加えて、131-Iの半減期が8日と比較的短いことを考慮すると、牛乳は被曝後比較的短期間で採取→飲用のステップを踏むのにたいし、食肉とした場合には加工の過程を要する分、摂取まで時間がかかりその間に減衰している点もあげられる。」

家庭ー>過程。これについては私も「なるほど」と思います。ICRPレポートによる乳児の母親からのmilkによる被ばくを勉強中ですので、この濃縮の過程も答えられるようになりたいのですが。。。【H】

 

#hayanoquizへのベスト解答投票システム

・ここは本日20日正午に回答締め切りの#hayanoquizのベスト解答投票システムです。

・下記の各問題と解答へのリンクより、ベスト解答に投票してください。

投票期限は21日正午です。

 

#hayanoquizへのベスト解答投票(問題1)

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【医療関係者必修】I-131,なぜ牛乳なのか.牛肉はどうか.即答してください.
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【理系学生必修】報道やWebで使われている単位, Sv, Sv/h, Gy, Gy/h, Bq, Bq/kgについて,簡潔に説明してください
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#hayanoquizへのベスト解答投票(問題12)

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【理系学生選択】測定値15020 Bq/kg などと報じられていますが,同じサンプルを,その直後にもう一度測定するとどうなると考えられるか,簡潔に記しなさい http://bit.ly/eAWzLW
  • 放射性壊変により、経過時間に応じて小さい値になる。
  • I-131の半減期は、測定間の時間よりもかなり長いので、I-131の量は変化が無いと言っていい。ただし、測定自体に統計誤差があるので、最初の測定と同じ値が出るとは限らず、最初の測定値と統計誤差から、分布が予測される。
  • 核種と、あと測る時期によるんではないか。できてすぐ減衰するから最初のほうに二度測定するとだいぶんと減衰する。逆に半減期すぎて二度測ってもあまり変わらない。
  • 総計数Nの標準偏差σは√Nであるため、σ=√15020=122.55程度の誤差を持つと推定される。
  • 測地値が異なる。 崩壊のタイミングはランダムですし、半減期が短い物質の場合測定のたびに放射能は弱くなっていくはずなので、少なくとも大幅に増えたり、同じ値にはならないのではと考えます。
  • ポアソン分布によって示される値に近似する。はず。測ってみないと実際はわからない。
  • 直後でも減ります。  測定できている時点で放射線が出ている→壊変が起こり、放射性でない物質への変化が起きている→放射性物質は刻々と減っている→直後に測っても数値は減っている。
  • 同じサンプルであるなら、若干であるが減少する。 Bq(ベクレル)は1秒間に自然崩壊して放射線を出す原子の個数のこと。時間の経過とともに元々の放射線を出せる原子の個数が減ってるのだからベクレルの測定値も減る。 極端に言えばヨウ素の放射性同位体は半減期8日だから、サンプルを8日ほっとけは崩壊する原子数は理論上半分に減っている(あくまでも確率)からベクレルも(半分とまでは言わないが)減るのだから、直後の測定であっても減ると推測できる。 あと、サンプルを移動させてたりしたら放射性同位体そのものがサンプルから落ちて測定対象外になるっていうのはナシかしら・・(えー)
  • 1回目測定から2回目の間に崩壊した分だけ減少している。(後で気づいた:測定誤差を考慮)
  • ベクレルは放射性物質の個数を表す単位である。放射性物質は半減期があり、それは微分方程式に従うので、直後にもう一度測定し直すと、数値が下がっていると考えられる?
  • Bq(ベクレル)は、一秒間に崩壊する原子の数なので、この場合は一キロの物体中に含まれる放射性物質のうち15020個の原子が一秒間に崩壊している、ということになる。これは「原子の個数」としてみた場合ごくごく微量なので、直後に観測しなおせば大差ない値が得られると思われる。
  • 直後に測定したとすると、I-131の量自体は前回測定時と変わらないと思われる。 次回測定時に前回測定時との差が生じたとすると、それは、サンプル量(kg)と測定時間(s)の小ささから来る統計誤差だろう。 この測定に用いたサンプルの量と測定時間が明示されていないため、その統計誤差がどの程度であるのかは議論できない。
Total Votes: 54 Started: March 20, 2011 Back to Vote Screen